ウォーリー 〜 ため息が出るほどの美しい映像 デフォルメ人間以外は最高

4d3efa9a.jpg 映画前半部分。ため息が出るほどの美しい映像。
 映し出されるものは、ゴミの山で埋もれてしまった地球。
 本当は汚いその世界を、あまりにも美しいCGで見せ(魅せ)られ
思わずため息が出る。

 「これは実写か?」と目を見開いて、
上半身をスクリーンに乗り出してしまうが、
これが現代のCG技術の最先端なのだ。

 美術館の名画の前で立ち止まり、「ホーッ」とため息をつくような、
そしてその場を動きたくなくなるような、
そんな凄さが「ウォーリー」の序盤にはある。
 
 言葉はほとんどない。
 説明もない。
 
 この言葉も説明もないところが、いいのだろう。

 ウォーリーのかわいらしい動きだけで、全てが伝わってくる。
 まさに、ノンバーバル・コミュニケーション(非言語的伝達)の美学。
 「無声映画」を極上のCGで再現したかのような作品である。
 
 29世紀の荒れ果てた地球で、たったひとり黙々と働き続ける
ゴミ処理ロボット、ウォーリー。
 宇宙へ脱出した人間たちに置き去りにされて700年。
 孤独の中、ひたすらゴミ掃除にあけくれる。
 そんなある日、真っ白に輝くロボット、イヴが現れ、
ウォーリーはたちまち恋に落ちる。
 そして、巨大な宇宙船がイヴを連れ去ってしまい、
それを追って宇宙に旅立つ、ウォーリー。

 さて、この宇宙での後半部に人間が登場する。
 この人間が登場してから、「映像美学の極致」が
メッキがパラパラと剥がれ落ちるかのように瓦解していく。

 人間は、「Mr.インクレディブル」のようなデフォルメキャラである。
 実写と見間違えるほどの前半部とは、全く別な映画になっている。
 
 アメリカのCGアニメでは、人間を超リアルに描くことを放棄している。
 だから、デフォルメキャラも悪くはないのだが、
前半があまりに美しいだけにバランスが悪い。

 ビジュアル的に悪いだけではなく、これらの人物に全く魅力がない。
 ロボットの方が何倍も人間的。
 おそらくは、ロボットを人間的に見せるために、あえて
人間をシンプルにデフォルメして描いたという作家の意図だろう。
 それは承知だが、これほど魅力のない「人間」なら
登場させない方がよかったのではないか。
 
 ストーリー的にも人間は「人工睡眠」というこにしておけば、
登場しなくても成立する話である。
 
 この物語は、「ウォーリーの恋愛物語」と「人類の再生物語」の
二つの物語が表裏一体となって壮大な叙事詩となるはずだが、
デフォルメキャラの平板描写で「人類の再生物語」の部分が
圧倒的に弱くなっている。

 というわけで、宇宙に出るまでは「★★★★★」のおもしろさと
完成度があったが、後半は私の趣味には合わなかった。

 とは言っても他の「ピクサー」作品同様、
全体に安心して見られる映画であり、
小さなお子さんと一緒に見る映画として、
冬休み映画前半の目玉作品であることは間違いない。

樺沢の評価  ★★★★

 (★★★★★が満点。☆は、★の半分)

 私の映画仲間には、「ウォーリー」はピクサー史上最高という人もいますが、
私としては、ピクサーならこの作品の方が感動しました。
→→→ http://01.futako.info/a/pixerbest.html

 やっぱり、私はアメリカン・カルチャーが好きで
映画を見ているんだろうなあ・・・。

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